公道の嫌われ者のLOOPを同じ嫌われ者のタクシードライバーが冷静に評価してみた

タクシーコラム

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電動キックボード「LOOP」とタクシードライバーの視点

近年、都市部を中心に利用が拡大している電動キックボード「LOOP」。便利さや手軽さが魅力的ですが、新しい規格の公道を走行する乗り物なので、既存の交通からは相当な嫌われ者になっています。 タクシードライバーとして日々道路を利用する筆者が感じた「LOOP」に関する本音をお伝えします。 LOOP

自転車よりはマシ?それでも危険な一面が


タクシードライバーの視点から見ると、LOOP利用者は自転車利用者と比べて「無灯火」や「片手運転」といった危険行為をする人が少ないように感じます。
自転車ではスマートフォンを見ながらの片手運転や、ライトを付けずに夜間走行する姿を頻繁に目にしますが、LOOPは稼働時にヘッドライトや緑色の車幅灯が点灯する仕組みになっているため、この点では安心感があります。また、不安定な乗り物であるが故に、片手での運転が難しく、必然とスマートフォンを見ながらの利用が少ないのだと考えられます。

一方で交通ルールを十分に理解していない利用者も多く、信号無視や逆走といった行為を見かけることがあります。車道を走っていると危険な挙動にヒヤリとさせられる場面も少なくありません。
電動キックボード

警察による取り締まりは厳しい印象


LOOPに関しては、警察の取り締まりが自転車よりも厳しい印象があります。黙認されている場面も多く見ますが、私の観測範囲では、特に歩道走行や信号無視、一時停止無視に対する指導や検挙が行われているようです。歩道を車道用の時速20kmモードで走るLOOP利用者に警察が声をかけている場面は何度も目撃しました。実際の違反摘発件数は2023年7月の新制度施行からの1年間で2万5156件。その中で歩道高速走行などの通行区分違反が1万3842件(55.0%)で半数以上を占めています。次いで信号無視で7725件(30.7%)との事。 一方で自転車の総検挙数は133万件と桁違いに多いのですが、分母に圧倒的な差があるので単純比較はできません。統計はありませんが、100倍は軽く超えていると考えると、電動キックボードは自転車以上に重点的に検挙されているものと推測できます。また、多くはLOOPを始めとしたレンタルですので、登録情報とナンバーから容易に利用者を特定できるため、逃げにくいという側面もあります。 逆走や歩道で暴走をする自転車がいても、数が多すぎるためか警察が積極的に取り締まっている光景はあまり見かけません。やっていたとしても、いつも決まった時間と場所での無灯火の取り締まりくらいなもの。 道路利用者全体の安全を考えると、電動キックボードだけではなく、同時に自転車への取り締まり強化も必要ではないでしょうか。
電動キックボードにのる女の子

電動キックボードの普及と交通ルールの意識


現状の利用者の安全意識のまま電動キックボードが普及すれば、さらに社会問題化していくのは明白ですが、無論電動キックボードだけが意識を高めても公道の安全は確保されません。 自転車はもちろんの事、コロナ以降都市部では再び台数が増加しているタクシーも円滑な交通を阻害している存在です。法改正や取り締まりの強化で担保できる部分とは別に、そもそもの公道利用者の安全意識を高める事が、最も多くのトラブルを回避する方法です。 そう言った意味では、公道レンタルサービスを提供する企業側にも、利用者への教育や安全対策のさらなる強化が求められるでしょう。

また、事故が増加傾向にある自転車を含む軽車両全般についての交通ルールの見直しや啓発活動が進むことで、道路の安全性を高めることができるかもしれません。警察権力の増大は必ずしも健全とは言えませんが、今後予定されている法改正や警察の取り締まり強化がどのような影響を与えるのか、注目していきたいところです。
電動キックボードにのる女の子

終わりに


タクシードライバーとして日々感じることは、LOOPのような新しいモビリティの普及は一部に歓迎される一方で、利用者の交通ルールの意識が追いついていない現状があるということです。警察の取り締まりが厳しくなることで安全性が向上する一方、自転車の無法状態に有効な対策も導入しない限り、根本的な解決にはつながらないのではないでしょうか。

これからの法改正や取り締まりが、道路を利用する全ての人々にとってより良い環境を作り出すことを期待したいです。また、公道で仕事をさせてもらっているタクシーも決して他人事ではなく、他の交通の模範となる運転や営業を心掛けなければ何の説得力も無いことは肝に銘じておきたいです。

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Posted by たくのり管理人