京都で起きたタクシー逆走事故について現役タクシードライバーが解説します

タクシーコラム

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2024年5月23日午前7時半すぎ、京都市中京区西三坊堀川町の交差点で、タクシーが逆走し乗用車6台が絡む大きな事故が発生しました。

京都 タクシー逆走 車6台絡む事故 70代運転手“思い出せない”

※詳しくはNHKのこちらの記事をご覧ください

複数メディアを調べてみると、事故前からふらつきながら走行している所が撮影されており、800mほど手前で他の乗用車と軽く接触したものの、そのまま走行を続けています。

その後、逆走レーンに進入し、200mほど逆走した挙げ句にノーブレーキ(60〜80キロほど出ていた)で対向車と衝突した模様。

重傷ではあるものの意識はあるようで、警察からの問いかけに「よく覚えていない」と返答があったとの事。

これらの事からいくつかのパターンが考えられます。

体調不良説

事故現場よりも800m手前から様子がおかしい場面がドライブレコーダーで撮影されています。この時点で意識が朦朧としていたと仮定するならば、正常な判断ができずに、半ば酩酊状態のような形で事故に至ったと考えられます。

ただ、この説には不可解な点もあります。800mも前から異変を感じ、さらにお客さんの乗っていない空車状態であれば、通常は速やかに左に寄せて停車します。ところが、すり抜けるように車線変更を行っており、その後800mも激突せずに走行した事実は、ある程度のハンドル操作を行う事が可能だったと見るのが自然です。アクセルも離せば800mも走行せずに停車しますし、意識を失った状態で踏み込み続ければ軽く100キロは超える筈ですから、停車という判断をせず、なおかつある程度操作が可能だった状態ではあると見れるわけです。

接触事故から気が動転した説

ドライブレコーダーの映像から、800m手前で車線変更の際に軽く接触事故を起こしているのが確認できます。その時点でスピード超過気味で異常性は確認できるものの、接触をして気が動転してさらなるスピードアップと逆走に繋がったと考えることもできます。

なお、どんなに軽い接触であろうとも、走行中の接触であればドライバーは必ず気付くと思います。意識が正常であったのならば、接触に気付いていなかったとは考えにくいと思います。

居眠り運転説

長時間の運転になりがちなタクシードライバーは、睡眠時間の確保と管理が重要です。前日の睡眠や適切な休憩が不十分な場合は非常に危険な居眠り運転に繋がりかねません。ただ、今回のケースでの居眠り運転の可能性は極めて低いと考えます。

深夜に走行をしているとタクシーに限らず居眠り運転を見ることが多々ありますが、その特徴は概ね低速走行で一致しています。低速でなおかつふらつき、前方が赤信号の場合はかなり手前で停止する等の特徴があります。

一概には言えませんが、今回のケースはその速度から最終的にアクセルをある程度踏み込んでいると思われるので、居眠り運転の特徴からはかけ離れています。

アクセルとブレーキの踏み間違い説

プロドライバーとは言え、運転者は72歳と高齢です。ブレーキだと思い込んでアクセルを踏み込み続けてしまうケースも考えられます。無論踏み間違いは高齢ドライバーに限った話ではありませんが、仮に踏み間違えたとしても、通常の判断力があれば勘違いを修正してブレーキの方に足が行くはずですが、高齢者であるとその修正が行われずに、ブレーキを強く踏んでいるのに逆に加速してしまうと認識してしまうようです。

但しこの説も800mという長い走行距離と、勘違いして踏み込んだにしては速度が時速80km程度で収まっている事を鑑みるに、不可解な点は拭えません。

まとめ

一見ありがちな逆走事故ですが、いずれの説も決定打に欠ける為、謎が多いです。死者が出なかったのが不幸中の幸いではありますが、同業であるタクシードライバーによるショッキングな大事故ですので、事故防止の観点からも原因の追求とその後の再発防止策は必須です。

今後新たに情報が出ましたら更新を行いたいと思います。

が、何よりこれを他人事だとは思わず、今後とも一層気を引き締めて営業を行って参ります。

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